ドリームナイト・アット・ザ・ズー

中尾 建子 ×鳥原 峰幸 × 井上 麻衣

すべての人が笑顔になれるように。
ドリームナイト・アット・ザ・ズーで、
アワーズが見つけた宝物

障がいのある方とそのご家族に、園内で楽しい時間を過ごしていただく「ドリームナイト・アット・ザ・ズー」。
ドリームナイト・アット・ザ・ズーは、
1996年にオランダのロッテルダム動物園で発足された活動が最初である。
以降、日本を含めた世界中の動物園などで取り組まれている。
アドベンチャーワールドでは2017年より、年1回実施している。

アドベンチャーワールドの
ドリームナイト・アット・ザ・ズーが発足にいたるまで

中尾ドリームナイト・アット・ザ・ズーを知ったのはずいぶん前ですね。2005年、よこはま動物園ズーラシアさんで催されたというのを聞いて。素敵な取り組みだとは思ったんですが、当時のアドベンチャーワールドでの実現は少々難しいと思いました。公立の園ならともかく、うちは一般企業ですから。多くの人を無料で園に招待はできないだろうと。で、一旦は忘れて……2016年ですね。近畿地区にある動物園で初めて神戸どうぶつ王国さんがドリームナイト・アット・ザ・ズーを開催されたという話を聞いたんです。

鳥原その時にはアワーズにも「3つのSmile」ができていたり、新しく生まれた​企業理念の中にも「社会貢献」の四文字がありましたから。今ならこの企画も受け入れられるのではと思ったんですよ。

中尾経営層との会議にもドリームナイト・アット・ザ・ズーの話が出て。奇しくも会社創立40周年のタイミングとも一致したんです。始めるなら今だという感じでしたね。上層部の許可は貰っていたんで、社員に向けてプレゼンを行いました。こういうイベントを行うプロジェクトを始めたいのだけれど興味はありますか、といったプレゼンです。

井上私は社歴が浅いので企画自体を知りませんでした。でもプレゼンを聞いて、これこそアワーズが取り組むべき企画と思いました。あとで知ったのですが、96%もの人が「興味を持っている」と反応したらしいですね。

鳥原嬉しかったですね。そうして、名乗り上げてくれた人からメンバーが選ばれたんです。所属部署はバラバラ。僕は飼育担当で、障がいのある方にゆっくりと動物とふれあってもらえる様な企画を考えていたので、企画の狙いとは一致していたんですよ。

ドリームナイト・アット・ザ・ズーが発足にいたるまで

企画がどう固まっていったか

中尾2017年6月の実施に向けてギリギリのスケジュールでした。まずはドリームナイト・アット・ザ・ズーを開催した園や館に片っ端から電話して色々聞いたんですよ。園の規模と、必要なスタッフの人数の関係や募集人数も、園の規模によってその数もまちまちなんですよ。受け入れ人数無制限の園もありますし。

鳥原募集の範囲をどこまでに絞るかといったこともかなり考えました。和歌山県内に区切るのか、日本全国にするのか。結局初回は和歌山県内に決まりました。障がい者手帳をお持ちの方や、そのご家族でとか条件は色々ありますけどね。

井上そのご家族の人数も悩みました。家族の範疇はこちらからは絞れないですし。介助者は家族に含まれるのか?家族ではないけれどずっとお世話している人は?とか。結局人数は決定しなかったんですけど、1家族平均4名様程度には収まりましたね。

中尾そうでしたね。決めることはたくさんあったんですけど、でも何よりも私たちがこだわったのは「3つのSmile」なんですよ。

井上そう、ゲストのSmileの目的として考えたのが「ゲストに気兼ねなく、心から楽しんでもらいたい」「家族で一緒の時間を共有して、絆を深めていただきたい」という想いでした。だから家族を人数では区切れないとなって。

鳥原やはり「家族」が最も大切なキーワードなんです。家族に障がいのある方がいることで、例えば友達と自由な時間が取れない、遊べない、といったことでしたら、一緒にアドベンチャーワールドで遊んでほしいというのが狙いだったのです。だから家族というキーワードは特に大切にしました。学校・団体、とかって区切りはなんか違うねと。

障がいのある方との適切な距離感

障がいのある方との適切な距離感

中尾やがて企画が固まって、ウェブサイトやプレスリリースチラシも作って積極的に広報しました。すると最終的に応募数が、受け入れられる予定の250組の倍の約500組近くにまでなって。1900人以上になったんですよね。

井上全部受け入れるか250組に絞るかもずいぶん考えました。私たちも何しろ初めてのことなので、250組が最適な数なのかもわからない。あくまで計画上で、これくらいが受け入れられる限界だろうと思っていた数で。だから、本当に申し訳ありませんでしたが結局抽選させていただき、予定の250組に絞らせていただいたんです。

鳥原受け入れたいという気持ちは山々ですけど、何よりゲストの安全が第一ですし、初回の取り組みだったので、リスクは避けざるを得ませんでした。当然、私たちも初めてのことで不安いっぱいですから。ハード面に対する不安ももちろんありました。何せアドベンチャーワールドはバリアだらけの場所。階段や坂、がたがた道。それはメンバー一同不安がってましたよ。

中尾あとはやっぱり、今までも通常営業で車いすの方などには対応していましたが、それが全員となったら私たちもどう対処すればいいのかと。それも全員が不安に思っていました。それじゃあ専門機関の方にレクチャーしてもらおうとパートナー企業の方にお願いして、ユニバーサルマナーの講習会を開いていただきました。

井上あれは本当にたくさんの学びがありましたね。座学で、例えば車いすはどのように動かせばいいのか、などといった内容だったんですけど。大事なのは、「必要以上に恐れなくていい。介助が必要ならば言ってくれるから」ということでした。

中尾そうです。何でもかんでもしてあげなくてはならない、ということではなくて、「何かお手伝いすることはありますか?」というスタンスですね。ちょうどいい距離感をキープするということなんです。

鳥原中には、車いすの構造自体をよく知っている人間じゃないと触らせたくない、という方だっていらっしゃいます。そういう方には、あえて車いすに触れるのではなく、何気なくスロープをご用意して誘導する。結局はご家族の方がメインでケアされるわけですから、私たちは過剰に意識せず、楽しいことをたくさん用意すればいいんだなという考えに至りました。

ドリームナイト・アット・ザ・ズーから学んだこと

ドリームナイト・アット・ザ・ズーから学んだこと

井上イベントを終えて、ゲストのみなさんをお見送りさせていただいたんですよ。その時にゲストもスタッフもみんなとてもいい顔をしていて。素晴らしい時間が創られたんだなとすぐにわかりました。1人ひとりが「この動物見たんです~!」とか「スタッフの方もずっと笑顔で楽しそうでした!」と実際に言ってくれたんです。難病の方や、車いすに乗っている方からも言っていただけたので……とても感動しました。1つの課だけで取り組んでいたのでは、絶対できなかったと思います。園全体で取り組んだからこそ、こんな大きなことができたんだなと。

中尾「自分の子がこんなに動物が好きだとは思わなかった。」という声も新鮮でしたね。「ずっと遊園地で遊んでました。」といった意見もです。ドリームナイト・アット・ザ・ズーを通じて、今まで自分のお子さんの知らなかった一面も知ることができたのかもしれません。

鳥原私は、ご家族のみなさんが本当に気兼ねなく楽しんでいる、という印象を強く受けました。ドリームナイト・アット・ザ・ズーは障がいのある方のためのイベントなので、周囲の目はあまり気にする必要がないわけですからね。アンケートにも、「家族・兄弟もみんな楽しめました。」という声が多かったです。心から取り組んでよかったと思いましたね。

中尾私もそう思います。とても学びの多い企画でした。結局3つのSmileを考えた時に、助けあって生きていける社会を実現するためには、参加する人を増やすこと・周りを巻き込んでいくことって、すごく大事なんだとつくづく思いましたね。

井上本当にそうですよね。チームでやることの大切さをすごく感じました。私は本当に社歴も浅いので、他部署の方と一緒にお仕事をさせていただくことも初めてでしたから。2018年も含めて2年連続でさせてもらって、あらためてチームメンバーにも、チーム以外の人にも支えてもらってこそのドリームナイト・アット・ザ・ズーだったと感じています。

中尾そもそもやりたいと思っていた企画だったので。それが実行できたことと、社員のみなさんに共感してもらえたことがとても嬉しいし、アワーズという会社にとってもこの経験はプラスになったんじゃないかなと思います。

鳥原トップダウンではなく、ボトムアップでこんな大きなことができたというのは、働いている人間だけではなくアワーズにとっても大きな力になると思います。